日本の医療システムは一見、高いレベルを誇り、医師の給与も良好、病院は利益を上げている…と思われがちですが、実際にはまだ発展途上で、非常に脆弱な状態です。
年間44兆円もの医療費が投資されているにもかかわらず、深刻な人手不足が続き、病院の80%が赤字という厳しい状況にあります。また、2040年まで高齢者割合が増加し続ける中で、現行の社会保障制度を維持できるかどうかも大きな課題となっています。
持続可能な体制を構築するためには、今日の医療の優れた部分は残しつつ、あらゆる分野での改革が必要です。政府はこの改革の必要性に対し、医療DXを重要な要素として位置付けており、医療DXプロジェクトを政府主導で推進しています。
弊社はその中で、標準型電子カルテα版開発におけるプロダクトワーキンググループに参画し、この動きを加速できるよう努めております。
私たちispecは、医療DXを通じて、病院が社会の要請に応じて柔軟に形を変えながらも持続可能な経営を実現できるよう、技術面からサポートしていきます。
病院の経営が持続可能でなければ、制度をいくら改善しても、実際の医療提供が困難になってしまいます。まずは、目の前の医療を提供するための経営体制を構築することが必要だと考えています。
保険診療の世界は非常に複雑であり、経営も難易度を伴います。医療行為の内容はもちろん、その際にどれだけの人数が関わり、どのような資格を持った職員がおり、何時間働いていたかといった情報まで、全て定められたルールの上での運用が義務付けられており、病院の売上に影響を与えます。膨大なルールを病院職員が把握しながら経営管理をするのは、ほぼ不可能と言えるほどに困難です。
私たちは、これらのルールが全て明文化されていることに着目し、ルールをアルゴリズムに落とし込むことで病院経営を技術的にサポートできるのではないかと考えています。
これが私たちispecの医療DXにおける挑戦となります。
病院のバックオフィス業務を効率化し、経営管理をサポートする事業の設計に着手しております。従来の受動的な経営管理から、ルールを正しく活用できる仕組みを構築することで、戦略的な経営管理を可能にいたします。
パートナー企業様と共同で、クラウド型の病院向け電子カルテの開発に取り組んでおります。
電子カルテは、診療行為に関する重要なデータが詰まった基幹システムです。このシステムがクラウド型で提供されていることは、連携のしやすさの点から非常に重要であると考えております。この実現に挑戦している数少ないベンダー様と共に開発を進めております。
パートナー企業様や協力医療機関様と共同で、介護や障害福祉といった医療周辺領域における、カルテおよび基幹システムの開発・提供を行っております。
政府が示す地域包括ケアシステムでは、病院などの医療機関と介護や福祉施設がシームレスに連携できる状態を理想としています。既に多くの病院が介護・福祉領域の施設も運営しており、医療の周辺領域を含めた、病院の将来的な役割を見据えた基幹システムの開発が求められています。
これら領域での経営改善にも積極的に関わりながら、システムの開発を進めております。